相続の節税について

最近、ある新聞記事が、「相続税減らしに走る富裕層」
というタイトルで、相続に関するセミナーの盛況を報じていた。
自分の、現在または将来の財産の管理運用や、
適正な納税について、
セミナー等で学ぶことは重要なことである。
相続においても、節税の特例やテクニックを知り、
適正な節税を計ることは当然である。

そういったセミナーや報道での提示が、
テクニックの強調に終始し、
将来の、あるいは現実的な生活上のことにまで
言及しているのかが、やや気になっている。

それらのテクニックを使って、当面相続税の減額は
計れそうである、あるいは減額にはなったとしても、
その方法では将来的に無理な、
あるいは不利な問題を残しはしないか
ということまでをも考慮しているのであろうか、
ということである。

最も懸念されるのは、
融資を受けて賃貸用の不動産や投資有価証券、
変額保険等を取得するという手法である。
バブル期に、銀行や不動産業者の主導などで、
この手法は相続対策として行われた。
しかし、その後の経済状況の変化、
不動産の陳腐化、本事業の不振などで、
不測の結果も相当見受けられた。

節税のためになにかを企てるにしても、
自分なりの将来に対する見方を確認し、
リスクを負う可能性は予測して
おかなければいけない。 

相続申告時の節税の知識と並行して、
将来的な展望に対する深い考慮を促すような
コンサルティングや報道の仕方が
望まれるのではないかと思う。

カテゴリー: コラム — admin 9:09 PM  コメント (0)